水晶に似た結晶体を形作る漆黒の石。日光を貯める事が可能で、刺激(衝撃、熱、電気等)与えると光を放出する。光の貯蔵量は体積と比例する。光の貯蔵量を決定するのは一つの結晶体としての体積であり、一度砕けたものを人工的に修復・融合させる技術は現在開発されていない。

木槌等で数回叩く事で数分間発光状態を維持出来る。熱での発光は最低でも60℃以上の温度が必要で、火で炙ったり湯に浸ける等の方法がある。しかしヴィノタイトは比較的脆い鉱石である為、上記の方法では誤って砕いてしまう可能性が高い。砕ける程の強い刺激を与えると破光(はこう)という現象が起こり、貯蔵されていた光を一瞬で全て放出しまう。砕く事で価値が損なわれる上、生じる強い光と熱で失明してしまう事故も度々起こっている。一番効率的かつ安定的な利用法は電流を流す事である。

日光に晒す事で再び光を貯蔵出来るが、何度も使用していると表面が白く濁って放つ光が弱くなる。濁った部分を削れば元のように使用出来るが、削ればもちろん体積が減る為、光の貯蔵量は減っていく。いかに長持ちさせるかが研磨師の腕の見せ場である。

ヴィノタイトと電極を繋いで固定し、ガラスで覆った電灯が都市の街灯等に利用されている。携帯用には、研磨して小さくなったヴィノタイトを透明な容器に詰めて振り、石同士のぶつかる衝撃で発光させる礫灯(れきとう)がある。

電気の普及していない小さな町や村では未だに蝋燭を使用するか、ヴィノタイトを直接叩くか火で炙る方法での使用が一般的。破光での被害を防ぐ為、必要以上に光の貯蔵をせずに使用したり、叩く際に遮光性の高い布で包む等の工夫がなされている。

各地で産出されるが、最も埋蔵量が多く、かつ質が良いとされているのは大陸の西方のアドリシオ島から産出されるものである。かつてアドリシオ島で地震が起こった際には島全体が光り輝いたという伝説がある。